医学が注目する「鍼灸」!!鍼灸が体にもたらす効果とは?!

現在、医学の世界で東洋医学の「鍼灸」が大変注目されている事をご存知ですか?鍼灸が体に良い影響・効果を発揮するとして、医療の現場でも鍼灸治療が採用されています。ここでは、医学の将来性を期待されている「鍼灸」の力について迫っていきたいと思います。
鍼灸の歴史について知ろう!

鍼灸は、古代の中国が発祥と言われています。日本では、平安時代までは灸治療が主に行われており、鍼治療は外科治療として活用されていました。戦国武将も戦の前に灸を据えていたり、昔の有名な俳諧にも灸が紹介されています。室町時代には、鍼治療が再び盛んに行われて鍼に関する流派が色々誕生し、民間治療として広く発展していきます。鍼灸治療では、鍼治療が初めての人でも体に痛みを与えずに刺入出来る方法として、鍼を管に入れて刺入する方法もこの時代に生み出されています。この治療方法は、現在の日本の鍼灸治療の伝統的な方法として浸透しています。中国の鍼治療では太い鍼を使用しますが、日本では非常に細い鍼を使用した鍼治療が主流です。現在では、現代医学と共に患者さんの治療とケアにも役立つ治療として広く世の中の人に活用される治療方となっています。
世界が注目する鍼灸治療
鍼灸の歴史からも分かるように、民間治療として定着してきた鍼灸治療ですが、近年では鍼灸は世界的に普及しており、日本を含め世界では鍼灸治療が医学的な側面から研究・実践が進み、鍼灸は医学的にも効果があるものとして注目を集めています。
世界保健機関によって1979年に鍼灸治療の適応疾患43種類が発表されたり、2010年には東洋医学が大学病院の医学部教育課程になる等、医療現場での鍼灸治療の重要性が大きくなってきています。この背景には、現代病が大きく関わっており、不定愁訴(ふていしゅうそ)と言って何となく体調が悪いという自覚症状があるにも関わらず病院で検査をしても原因不明の症状の病が関係しています。
現代の医学では、西洋医学は体の病気を治すもの、東洋医学は身体の免疫を高めるもの、と捉えられており、東洋医学は原因不明な身体の不調や慢性的な症状に医学的な効果がある事が証明されています。現在はグローバルな医療として世界で東洋医学を医療の現場に導入している所が沢山あります。
鍼灸治療のメカニズムとは?

東洋医学では、病気の原因や要因は、身体のバランスが崩れてしまっている事によって病気の症状が生まれているとされています。身体バランスを改善する為に、「体に備わっている病気を治す自然治癒力を高める事が出来れば病気は治る」と言う医学的な考え方を持っています。
基本の考え方は「気・血・水」のバランスが整っている身体状態が健康とされており、それらのバランスの崩れ方で治療法が色々定められています。鍼灸治療では、約2,000以上の症状に応じた治療法があり、東洋医学では症状に合わせて治療法を使い分けて治療を行っています。
「気・血・水」とは一体何を意味するのか?
- 気とは?
- 身体の中に流れているエネルギーの事です。気力や活力を意味しています。
- 血とは?
- 血液の循環機能の事で、体全体に栄養を運ぶ働きを意味しています。
- 水たは?
- 体の中にあるリンパ液やその他の水分の事です。消化・排泄を働きかけたり、臓器の働きを円滑にする作用を意味しています。
鍼灸の「ツボ」「患部」って一体何?!

私達人間の体には、エネルギーの流れる道があるとされており、それを「経絡(経絡)」と言います。線になって身体の様々な所を繋いでいる経絡には、経絡線上に「経穴(経穴)」があり、それが鍼灸で「ツボ」と言われているものになります。ツボは全身にあるのですが、神経、血管、筋肉等、身体にとって大事な場所に存在しています。
「気・血」が巡っている所が「経絡」になります!
気や血が巡っている道が、鍼治療のポイントでる大切な「経穴」が集まっている所にあたります。滞ってしまっている経絡を改善したり、経絡を円滑にスムーズな流れにしたりする為に、経絡のポイントである経穴に鍼やお灸を使用して施術する事で、気と血の流れを良くしていく事が鍼灸治療です。
「患部」って何?
患部は、痛みや普段とは違う感覚や状態になっていたり、身体の不調を訴える場所の事です。
鍼灸治療とは?

- 鍼治療
- 基本的に痛みを感じる患部に鍼を刺し、鍼で患部のツボが刺激される事で、身体の免疫機能や自律神経に働きかけ、痛みを緩和させるホルモン分泌を促し、脳への痛みの神経伝達を止める治療です。
使用される鍼について
使用される鍼には様々な種類がありますが、日本では身体に痛みを感じにくいとても細い鍼を使用しています。人それぞれ身体の症状や状態が異なるので、人によって鍼の太さや長さは違ってきます。一般的な鍼の特徴としては、長くて細い鍼を使用して治療を行います。
治療方法
- 一般的な鍼治療
- 鍼管の中に鍼を入れて刺入していきます。この治療法は、昔から伝わる治療法で、身体になるべく痛みを与えない優しい治療法となっています。使い捨てのステンレス製の鍼を使用し、衛生面にもしっかり配慮されています。
- 上質な鍼を使用した鍼治療
- 鍼治療では、鍼の素材に金や銀の鍼を用いた鍼治療があります。こちらの治療で使用する鍼は、使い捨てではありません。しかし、治療院でしっかり殺菌処理された鍼を使用しているので、衛生面に関しても問題ありません。
灸治療について
- 灸治療
- 身体の状態や体の中で気・血・水の流れる道の状態を把握した後、経絡上のツボにお灸を置いて燃焼させる事で温熱刺激を身体に与え、体本来の自然治癒力を引き出す治療です。
使用されるお灸について
日本では「艾(もぐさ)」、ヨーロッパでも「moxa」と呼ばれるお灸を使用しています。よもぎの葉の裏にある絨毛(じゅもう)という葉の粘膜部分を精製して作られた物になります。艾の特徴は、火がつきやすくて火の強さも穏やかである為、肌の上に置いても適度な温かさで心地良い熱を感じる事が出来ます。
- お灸の種類
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- 艾
- アロマが香るお灸
- 火を使用しないお灸 等
最近では、艾の他にも新しいタイプのお灸が出てきています。また、専門家で無くても安全に使用する事が可能な商品も販売されています。
- 直接灸
- 艾を肌に直接置いて治療を行います。直接肌に置くので熱の伝達は大きく、場合によっては治療後に水泡が出来る事があります。
- 関節灸
- お灸と肌の間に専用の灸点紙と呼ばれる紙を挟んで治療する方法です。灸点紙が間にあるので、熱の伝達を緩和する事が出来ます。しかし、熱の刺激が弱まる分、身体に与える刺激も弱くなります。
- 隔物灸
- 生姜、お味噌、ニンニク等をお灸と肌の間に挟んで灸治療を行う方法もあります。この治療法はあまり”治療”と言う観点では一般的ではありません。
鍼灸治療が体にもたらす効果とは?

体の特定の場所を鍼やお灸を用いて患部やツボを刺激し、身体バランスを整えて、身体機能を回復・改善する為の治療方です。それでは、鍼灸治療が体にもたらす効果には一体どんな効果があるのでしょか?ここでは、鍼灸治療の効果についてご紹介します。
鍼灸治療の効果について
鍼灸治療と言うと皆さんは初めにどんな治療を思い浮かべますか?多くの方は、肩や腰の治療をイメージするかもれませんが、実は他にも鍼灸治療は身体に良い効果を発揮してくれます。
- 患部の痛みを緩和する
- 血液の流れを良くする
- リンパの流れを良くする
- 顔回りの疾患
- 更年期障害
- 不妊治療
- 子供の神経症
- 虚弱体質 等
何故このような効果を身体にもたらす事が出来るのかと言うと、鍼灸治療によって、体の末梢神経が刺激される事で中枢神経に良い効果を発揮してくれます。身体にあるツボを適切に鍼で刺激する事で、体の内側からありとあらゆる症状をじっくり改善・回復していく事が出来るのです。最も鍼灸治療での効果がある血行促進効果は、末梢神経・中枢神経どちらにも良い効果を発揮します。長期的に治療によって身体の自然治癒力を高めていく事が可能です。
鍼の力とは?
特定の患部やツボに与える刺激量に考慮しながら刺入していく事によって、適切に患部やツボを刺激して、健康状態を改善させていきます。
- 鍼の主な働き
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- 自律神経
- 内分泌
- 免疫機能
通常、体に強い痛みが生じているケースだと、身体の交感神経が過度に緊張した状態になって、血管の収縮が強くなり運動神経系も同時に興奮状態になっています。その場合、体の筋肉が硬くなって体内の血管を圧迫させてしまう事から血液循環が悪くなります。これらの働きによって筋肉の緊張が和らぎ、血行促進やリンパの循環機能を改善してくれます。また、鎮痛効果や自然治癒力を高める働きにも作用します。その結果、体内に痛みを感じる発痛物質が溜まっていき強い痛みを引き起こして、痛みの悪住管を招いています。鍼治療を行う事で、鍼がその悪循環を断ち切り、良い方向に改善していく事が出来ます。
お灸の力とは?
艾に含まれるネチオールと呼ばれる精油成分が身体の皮下に浸透していき、自律神経が刺激される事で内分泌系に良い影響を与えてくれます。基本的には鍼治療と同様の身体効果を得る事が出来ます。灸治療では、特に血管系に対する治療効果が高く、白血球が増加する事によって免疫作用が高まったり、血小板が増加する事によって止血作用に働きかけたり、心臓や血管の収縮力する力が強く活発になる事で強心作用も期待する事が出来ます。
- お灸の主な働き
-
- 自律神経
- 内分泌
- 免疫機能
温室効果によるこれらの働きによって、血行促進や白血球の生産促進、鎮痛効果、リラックス効果等を得る事が出来ます。
鍼灸治療の副作用について
基本的には副作用が出る事はあまり無いとされおり、高い確率で副作用が出る訳ではありませんが、治療の過程で一時的に副作用が出る場合もあります。
- 倦怠感
- 眠気
- ふらつき 等
適切な鍼灸治療の頻度とは?

鍼灸治療の効果と言うのは、身体の不調を訴えてから日が浅い病気程、早く完治する事が期待出来ます。治療効果は個人によって変わってきますが、一回鍼灸治療を受けただけで、激しい身体の不調の症状が驚く程軽減する事もあります。しかし、慢性的な症状の場合は、長期的な治療を行う必要性があり、人によって適切な頻度と言うのは異なってきます。毎日、鍼灸治療を続けた方が身体効果は高いですが、発症している症状によっては快癒してゆくペースが異なり、一日おき・二日おき・一週間に一回程度等色々です。なので、鍼灸治療の先生の指示に従って治療を行うようにしましょう。鍼灸師は、しっかり本人の身体の状態を見ていきながら、適切な治療頻度を提案してくれるので安心です。鍼灸治療では、患者さんによって身体に表れている症状にそれぞれ違いがある為、頻度は個人によって変わる事を覚えておきましょう。
まとめ

医学界で高く評価され今後も治療に関して期待されている、「鍼灸」の謎について色々お伝えしてきました。鍼灸は西洋医学とは異なる観点から発展してきた医学療法です。しかし、病気に対する根本的な「原因を除去する」と言う目的はどちらの医学も共通した考えを持っており、同じ医学の異なる領域として、鍼灸の活躍が今後更に期待されています。 鍼灸は私達の生活や医療の現場でも身近な存在となっています。